
ライブコマースを導入するには、専用のアプリ、もしくはECサイトから直接動画を見られるツールを使うか、あるいはSNS上で動画を配信する方法などがあります。そのため、それぞれの強みや特徴を比較しながらベストな方法を選ぶのが賢明です。
ライブコマース・アプリ、ツール、サービスを選ぶポイント
まずは、運営会社もサービス形態も異なるライブコマース・アプリ、ツール、サービスのなかから理想の導入方法を選ぶために、どんなポイントをチェックすればいいのかを説明します。
ユーザー層
まずはユーザー層をチェックすることが大切です。ライブコマースの視聴者の多くは、商品購入を目的としているのではなく、配信の視聴自体を目的としています。
そのため、そもそもユーザー層が自社商品の購買層とマッチしていないアプリやツール、サービスを使うと、ライブコマースをおこなう意味が半減してしまいます。たとえば若い女性向けの商品であれば、若い女性に人気のアプリやツール、サービスを選ぶことが大切です。
配信者
ライブコマースを成功させるためには、配信者の選定がもっとも重要と言われています。配信者は大きく2パターンに分けられます。
1パターン目はタレントやインフルエンサーです。この場合、自社商品の購買層に人気が高い人を起用することが大切です。もう1パターンは自社の社員です。適任者は、商品についての知識が十分でトークが上手な人。「人から好かれやすい雰囲気」「信頼されやすい雰囲気」であることも重要です。
販売商品のジャンル
動画で魅力を伝えやすいアパレルアイテムやコスメ、日用品などは、ライブコマースに登場する定番商品です。しかし、商品のジャンルごとにベストなアプリやツール、サービスが異なるので、自社商品との相性も事前にしっかりチェックすることが大切です。
ただし、そもそもライブコマースに向かない商品も存在します。代表例は、高齢者向けの健康グッズや健康サプリ。ライブコマースの利用者はほぼ若年層であるためです。
手数料や諸経費
ライブコマースの導入費用は、運用形態によって大きく異なります。無料で導入できる方法もある一方、数百万かかるものもあるので注意が必要です。
また、初期費用が無料であっても別途手数料がかかるパターンもあれば、月額費用に数パーセントの手数料が上乗せされる場合もあります。視聴者数なども異なるため、一概に安いほうがいいとも言えないので、さまざまな要素を鑑みながら比較検討してみるといいでしょう。
ライブコマース・アプリ、ツール、サービスの分類

ライブコマース・サービスはアプリ(ECモール型とキュレーション型)とSaaS型の2種類があります。目的に応じてサービスを使い分けると良いでしょう。
アプリ(ECモール型) | ・法人に対して出店できる機能を提供する ・配信は出店者が行う場合が多い ・売り上げに対して手数料がかかる場合が多い |
アプリ(キュレーション型) | ・委託販売を行うサービス(オンライン・セレクトショップ) ・サービスプロバイダーが在庫を抱える場合もある ・配信はサービスプロバイダー側が行う ・売り上げに対して手数料がかかる場合が多い |
SaaS型 | ・法人向けにライブコマース機能を提供するサービス ・自社ECにてライブコマースを実施できる ・自社ECを顧客接点として重視する企業におすすめ |
アプリを主体としたライブコマース・サービスの特徴
アプリを主体としたライブコマース・サービスにはECモール型とキュレーション型の2種類があります。
ECモール型は、メルカリに代表されるサービス形式で、法人が出店・販売できる機能を提供しています。撮影・配信は基本的に出店企業が行います。商品が売れた場合は、販売手数料を支払う必要があります。
一方、キュレーション型は、LiveShop!に代表されるサービス形式で、オンライン上のセレクトショップのようなサービス形態です。撮影・配信は基本的にサービスプロバイダー側が行います。
アプリを主体とするライブコマース・サービスの選定基準はMAUの多さとユーザー属性です。販売する商品と相性の良いユーザーが利用するアプリを選択しましょう。
SaaS型ライブコマース・サービスの特徴

ECサイトやアプリにライブコマース機能を埋め込むことができるサービスです。導入企業は自社ECにてライブコマースを実施できるので、自社ECを顧客接点として重視している企業にはSaaS型で自社ECの顧客接点をさせると良いでしょう。
ライブコマースの導入方法を紹介した記事はこちらです。
おすすめのライブコマース・アプリ、ツール、サービス13選
TAGsAPI(タグズエーピーアイ)
ライブコマースソリューションを開発提供するスターツアップ企業(Moffly)が運営するSaaS型のサービス。ライブコマース機能を自社ECに簡単に導入できるSaaS型(ASP)のサービスです。1回の配信で1億円以上売り上げる導入企業もあります。

運営会社 | 株式会社MOFFLY |
配信開始日 | 2018年4月23日 |
サービス形態 | SaaS型 |
配信者 | ブランドのイメージモデル、ブランドの販売員、インフルエンサーなど |
ライブコマース 機能を自社ECに簡単に導入できます。HDでの配信が可能。配信ノウハウに不安がある企業には配信サポートもあり、導入企業には三越伊勢丹、ビックカメラ、ナルミヤ・インターナショナルなど大手企業があります。リアル店舗やショールームからの配信など、多様な配信コンテンツがあります。
Yahoo!ショッピング LIVE
Yahoo!ショッピング LIVEはYahoo!ショッピング内のライブコマース機能です。

運営会社 | ヤフー株式会社 |
配信開始日 | 2017年11月05日 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型) |
ユーザー層 | 中高年層、女性 |
販売商品 | オールジャンル |
配信者 | Yahoo!ショッピング出店者 |
Yahoo!ショッピング LIVEで配信を行うには、出店者アカウントが必要になります。
モデルの藤田ニコルさんが、自身がプロデュースしたアパレルブランド「NiCORON」を配信したり、メ~テレの通販事業「メ~コレ」が原口あきまささんとミラクルひかるさんを配信者としてライブコマースを実施したりと、話題性のある取り組みを行なっています。
また、有名人以外にも、「イーザッカマニアストアーズ」などの有力店の配信も行われています。
ヤフオク!ライブ
ヤフオク!ライブはヤフオク!内のライブ機能です。

運営会社 | ヤフー株式会社 |
配信開始日 | 2018年9月10日 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型、オークション) |
ユーザー層 | 30〜50代、男性 |
販売商品 | 中古品など |
配信者 | ヤフオク!出品者 |
ライブ動画で出品している商品を説明出来るサービスで、ライブ機能を利用することで商品がより多くの人の目に止まりやすくなります。ヤフオク!運営サイドで日替わりのテーマが設定されており、テーマに沿った商品を出品しライブ配信する取り組みが行われています。
SHOPROOM
アイドルやアーティストが多くライブ配信を行うSHOWROOM内のライブコマース機能です。

運営会社 | SHOWROOM株式会社 |
配信開始日 | 2016年9月7日 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型)、ただし単発の配信が多い |
ユーザー層 | 18~34代、男性が多い |
販売商品 | タレントグッズ、アパレル |
配信者 | タレント、モデル、販売員 |
SHOWROOM株式会社が運営するライブコマース・サービスで、ユーザー層が若いことが特徴です。乃木坂46の北野日奈子さんが写真集を販売したり、元°C-uteの萩原舞さんが自らプロデュースした「With Mii」オリジナルTシャツを販売したりと、有名人による配信が多く、話題性のあるコンテンツが数多くあります。
AbemaTV
最もTVショッピングに近いテイストのライブコマースです。AbemaTVの豊富なユーザー数を活かした集客力が強みです。

運営会社 | 株式会社サイバーエージェント/株式会社LIVE STA. |
配信開始日 | 2018年2月1日 |
サービス形態 | アプリ(キュレーション型) |
ユーザー層 | 20~30代、男性が多い |
販売商品 | コスメ、食品 |
配信者 | タレント、芸能人 |
AbemaTVの一番組として配信しています。株式会社LIVE STA.が8月20日からAbemaTVの「K WORLDチャンネル」内の1番組として『KANCOS HOLIC(カンコスホリック)』を開始しており、韓国コスメを販売しています。AbemaTV内では購入できず、商品は別サイトで購入する方式です。
ONPAMALL(オンパモール)
ONPAMALL(オンパモール)は、ライブ配信中に出演者との会話を楽しみながらショッピングできるモールです。人気ブランドや有名タレントの配信も多いことから、ショッピング目的ではなく、単純に配信を楽しみにしているファンも大勢います。トップライバーと元トップアイドルが語るライブのアーカイブなどは、配信後も繰り返し視聴されています。
運営会社 | 株式会社ONPA JAPAN |
配信開始日 | 2020年2月4日 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型) |
ユーザー層 | 若者~中高年層 |
販売商品 | ファッション、美容・コスメ、食品・飲料、ライフスタイル |
配信者 | スタッフ、モデル、TikToker、インスタグラマー、元アイドルなど |
CHECK(チェック)
DELISH KITCHENを運営する株式会社エブリーがau(KDDI株式会社)と共同で運営するライブコマースサービスです。

運営会社 | 株式会社エブリー/KDDI株式会社 |
配信開始日 | 2018年8月9日 |
サービス形態 | アプリ(キュレーション型) |
ユーザー層 | 20~50代女性 |
販売商品 | 日用品、便利グッズ、家電など |
配信者 | モデル、ミュージシャン |
エブリーがもつ動画コンテンツ制作力と、KDDIグループがもつコマースサービス基盤や決済サービス基盤との融合することで実現したライブコマースサービスです。これからはWowma!(ワウマ)との連携も深まっていくものと考えられます。
C CHANNEL(シーチャンネル)
20~30代女性ユーザーの多い縦動画メディア「C CHANNEL」内のライブコマース機能です。

運営会社 | C Channel株式会社 |
配信開始日 | 2017年7月14日 |
サービス形態 | アプリ(キュレーション型) |
ユーザー層 | 20~30代、女性が多い |
販売商品 | タレントグッズ、アパレル |
配信者 | アイドル、モデル、インフルエンサー |
韓国のボーイズグループ「Wanna One」が写真集とグッズをライブコマースで販売したり、サマンサタバサジャパンリミテッドがファッションブランド「Samantha Thavasa」を販売したりしています。
C CHANNELのイベント「Super! C CHANNEL 2018」と連動したライブコマースも実施しています。
Cocokara LIVE
九州の名品・逸品を紹介するライブコマースアプリ。

運営会社 | 株式会社OVER D-LIVE/オーヴァードライヴ |
配信開始日 | 2018年10月 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型) |
販売商品 | 九州の名産品 |
配信者 | 九州の生産者 |
配信者は九州の生産者に限定。九州の配信者が「九州の名品」の魅力を全国に発信している。
BASE LIVE(ベイスライブ)
80万店舗の利用実績を誇るネットショップ作成サービスのBASEが提供するライブ機能。

運営会社 | BASE株式会社(BASE, Inc.) |
配信開始日 | 2017年9月 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型) |
販売商品 | オールジャンル |
配信者 | BASE出店者 |
「ライブだから、もっと伝わる。」をコンセプトにベイスのショップオーナーが取扱商品の魅力をお客様に発信しています。中小規模ECが対象顧客
LIVE812(ハチイチニ)
LIVE812は、「3世代型ライブ配信アプリ」のコピー通り、若者から年配まで幅広い年齢層のライバーが在籍しているライブコマース・アプリです。
特徴は、「これからスターになる人をそばで応援できること」。つまり、配信者は一般の人です。アプリ内のイベントで上位にランクインすると、テレビやラジオなどのメディアへの出演権やオリジナル楽曲を提供してもらえるチャンスなどを得られるシステム。応援する側は、推しがスターになっていく過程を楽しめます。
運営会社 | 株式会社MyStar |
配信開始日 | 2020年5月 |
サービス形態 | アプリ |
ユーザー属性 | 若者~中高年層 |
販売商品 | ハンドメイドアクセサリーなど、ライバーの作品や商品 |
配信者 | ライバー |
au PAYマーケット
Auコマース&ライフ、KDDIが運営する総合ショッピングモール「au PAYマーケット」はPCサイトからショッピングのみ楽しむことも可能ですが、アプリをダウンロードすれば、「ライブTV」の生配信を楽しみながらコメントを送ったり応援機能を活用したりといった楽しみ方も満喫できます。また、au5Gで快適に視聴できることも大きな特徴です。
運営会社 | auコマース&ライフ株式会社、KDDI株式会社(共同運営) |
配信開始日 | 2019年7月30日 |
サービス形態 | アプリ(ECモール型) |
ユーザー属性 | 若者~中高年層 |
販売商品 | ファッション、家電、パソコン・PC周辺機器、テレビオーディオ・カメラ、ビューティ・コスメ、ダイエット・健康、医療・介護・医薬品、キッズベビー・マタニティ、音楽・映像、電子書籍など |
配信者 | タレント、芸人、声優など |
Taobao(タオバオ)
中国のNo1ライブコマースアプリです。ライブコマースの火付け役的存在です。

タオバオはC2CのEコマース・サービスのイメージがありますが、実際は中小企業から大企業まで出店する総合ECモールです。有名人だけでなく一般人もライブコマースを実施しています。ユーザーが多いので、一般人でも定期的に配信することで数千人以上の閲覧者を集めることができます。
有名人を起用した本格的なライブ配信から、一般の個人商店の手作り感あるライブ配信・インフルエンサーがオススメの商品を紹介するライブ配信まで、様々なライブコマースが配信されています。
日本から中国市場に向けたライブコマースを実施する動きも広がっています。ロクトーナは中国語が話せる販売員を百貨店や貴金属店に派遣して、「淘宝網」にてライブコマースを実施しています。
終了したライブコマース ・サービス
LiveShop!
ライブコマースの先駆け的サービスで、日本でいち早くライブコマース・サービスを提供を開始しました。現在はサービスを終了しています。

株式会社Candeeは自前の撮影スタジオを持ち、企画・撮影を行なっていますので、ライブ動画のクオリティの評判が高いのが特徴です。最近、法人向けにアカウントも解放しています。企画力にも定評があり、AKB48グループメンバーや峰松蓮氏が出演するライブコマースやライブコマースを活用した逆オークションなど独自性のある企画を実施しています。
CHIPS
CHIPSはDMMグループのピックアップ株式会社が運営するライブコマース・サービスです。現在はサービスを終了しています。

ユーザーが自らライブコマースを実施できるサービスで、ファッション・コスメなど女性同士のコミュニケーションに特化していることが特徴です。
Laffy
「作りながら売ろう」をコンセプトとした、クリエイターのためのライブマーケットです。

Laffyはライブコマースのさきがけ的な存在で、ハンドメイドに特化したサービスです。2018年3月30日(金)をもってサービスを終了しています。継続的な運用が困難であることが、サービス終了の理由です。
PinQul
現役東大生が創業した株式会社Flattが運営するライブコマースアプリです。

PinQulはライブコマースが日本で盛り上がり始めた早い時期に提供開始されたサービスです。LiveShop!と比較されることも多く、LiveShop!が有名人・モデルを配信者としているのに対し、PinQulはマイクロインフルエンサーをメインの配信者としています。現在はサービスを終了しています。
メルカリチャンネル
2018年2月1日放送の「スッキリ」でも紹介されるなど、ライブコマース・サービスで最も知名度の高いサービスです。MAUが多く、多くのライブの閲覧者を確保できます。マイナビティーンズラボが実施したライブコマースの認知度・利用経験に関する調査では、認知度・利用経験ランキング1位を獲得しています。

メルカリ自体はフリマアプリなので、メルカリチャンネルもフリマアプリ的な親しみやすさをもつライブコマースサービス。当然一般人も配信できますが、法人も配信可能でした。
配信コンテンツも様々で、ライザップや夢展望などの有名企業の配信、ライブ中に小松菜などの野菜を収穫して販売する福岡市の農家「大和農園」の配信、CDの実演販売を行うクレイジーケンバンドなどミュージシャンの配信があり盛り上がりを見せていました。
現時点では、マネタイズ(収入)を目的とした配信よりも、フォロワーを増やして知名度を上げるために格安での販売する動きが目立っていましたが、現在はサービスを停止しています。
ライブコマースの成功は、視聴者とコンテンツのマッチング
ライブコマースの成功の鍵となるのが、視聴者とコンテンツ(自社商品)のマッチングです。自社商品への関心が高いターゲット層にライブを見てもらえなければ売れる見込みは少ないため、アプリを利用してライブコマースを導入する場合は、自社商品と相性がいいアプリであるかどうかをよく見極めることが大切です。
一方、自社のホームページ上でライブコマースを展開すれば、既存顧客が動画を閲覧してくれる可能性が高いため、購入へのハードルは下がります。それぞれのメリットを考慮したうえで、今後の方針を決められるといいですね。
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株式会社Mofflyの提供する「TAGsAPI」は自社ECにライブコマース機能を導入できるクラウド型ライブコマース・サービスです。数行のコードをHTMLに書き加えるだけでライブコマース機能を実装できます。
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