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ライブコマースの市場は?日本市場と中国市場を分析・比較

2021/03/23

ライブコマース先進国と言われる中国のライブコマース市場は現在でも成長を続けていますが、市場規模としてはどのくらいなのでしょうか? また、それに対して日本のライブコマース市場はどんなふうに変遷しているのでしょうか? 早速解説していきます。

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中国のライブコマース市場

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中国のライブコマース市場のトピック

ライブコマースは、2015年頃に中国のソーシャルメディアで始まりました。それ以前から流行していたライブ配信を、マーケティングや商品のプロモーションに活用しようと画策したのです。結果は大成功。中国のインターネット利用者は2021年6月末時点で約10.11億人 に上りますが、そのうち40%近く がライブコマース利用者と言われています。

ライブコマースの市場規模に下記のJETROのレポート記事を御覧ください。

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/bca31f7ca5265e62.html

信頼できる配信者であることが重要

主に配信しているのは、“専門性の高いインフルエンサー”ともいうべき「KOL(Key Opinion Leader/キーオピニオンリーダー)」。中国は昔から偽物商品の流通が多いことから、「店のおすすめよりも信頼できる人のおすすめを買いたい」と考える人が多いため、KOLの需要は高いのです。KOLは、中国で人気のSNS「WeChat(ウィーチャット)」や「Weibo(ウェイボー)」、またはECサイト「タオバオ」「Tmall」などでライブ配信をおこなっています。

日本でも毎年話題となる「独身の日」セール

中国のライブコマース市場でもっとも盛り上がるのが、日付が“独り”を連想させることから「独身の日」と呼ばれる11月11日。中国では、毎年「独身の日」には一大商戦が繰り広げられる風習があり、ライブコマース市場も最高潮に盛り上がりますが、日本のニュースやワイドショーでも取り上げるため、TVで観たことがある人も多いでしょう。

中国のライブコマースの市場規模

発祥以降、成長し続けている中国ライブコマース市場。最初の拡大のきっかけは大手EC企業の参入で、2016年の「タオバオ」による「タオバオライブ」開設を皮切りに、WeChatなどのSNS系プラットフォーム、TikTokなどのショート動画コンテンツ系プラットフォームでの専用チャネルもこれに続きました。

2020年にはコロナの影響で利用者が増え、1兆500億元(1元=約17円)規模にまで到達。2021年には前年比90%増の1兆9,950億元にまで市場規模が拡大しています。また、トップライバーともなれば売上額も破格。2020年にもっとも売り上げたライバーは、310億9,000万元の売上総額を記録しています。

中国のライブコマースの売上上位の商品

2020年7~8月にKPMGがライブコマース事業者を対象におこなったアンケートの結果、ライブコマースでもっとも売り上げが大きい商品は「レディースアパレル」です。続いて、2位=「食品」「バッグ類」(同率2位)、4位=「化粧品・スキンケア用品」、5位=「メンズアパレル」、6位=「インテリア用品」、7位=「インナーウェア肌着類」「デジタル製品」(同率7位)、9位=スポーツ用品、10位=生活用品というランキング結果。

主な配信者であるKOLが視聴者にとって憧れの存在であることから、ファッションやコスメを真似したいと考える女性が多いことが予想されます。また、2位にランクインした食品や10位にランクインの生活用品は、コロナ禍以降は特にニーズが高まっているのでしょう。

中国のライブコマースの年齢層と男女比

中国のライブコマース利用者の性別割合は、ウェイボービッグデータ研究院が発表した「2020年度ライブコマース業界ネット注目度分析報告」によると、女性=55.3%、男性=44.7%と女性がやや多め。年齢別割は、20歳以下=20.0%、21~30歳=58.0%、31~40歳=16.8%、41~50歳=3.9%、51~60歳=0.8%、61歳以上=0.4%という結果です。

21~30歳のゾーンが半数以上を占めていることから、この世代が好んで購入する商品がライブコマースに向いていることがわかります。全体的に見ても40歳以下が約95%を占めていることから、ライバーのセールストークもunder40を意識したものであると考えられます。

日本のライブコマース市場

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日本のライブコマース市場のトピック

日本の企業がライブコマースを導入し始めたのは2017年頃と言われています。しかし、なかなか“普及”とまではいかず、当初は伸び悩んでいました。先に紹介した中国との違いを考えてもわかる通り、日本は店舗やブランドへの信頼が厚いため、「店のおすすめよりも信頼できる人のおすすめを買いたい」という考えがないのもその理由でしょう。

店舗販売員がライバーを務めるライブコマースも人気

しかし、後にそのことをうまく利用して、「店舗の販売員自身がライバーを務める」というスタイルのライブコマースが増えることになります。大きなきっかけとなったのは、中国と同じくコロナ禍。外出することなく買い物したいという「巣ごもり需要」が大きくなったことで、ECの可能性も高まる結果となったのです。

若い女性に人気のアパレルブランドもライブコマースに積極的

2020年春頃には、アパレルブランド「JOURNAL STANDARD」で知られる「ベイクルーズ」など、大手企業が一斉にライブコマースを開始。1週間で2,500万円以上を売り上げるなど急速に市場が拡大しました。現在、もっとも人気が高いカテゴリはアパレルや美容系ですが、外出自粛の影響が特に大きかった百貨店・ショッピングモールなどの小売業の配信も増えつつあります。

日本のライブコマースの認知・利用状況

日本におけるライブコマースの認知度はまだそれほど高くありません。2019年7月に、マクロミルおよび翔泳社が15歳から49歳の男女を対象に実施した「ライブコマースに関する調査」によると、ライブコマースについて「内容も含めてよく知っている」と回答した人はわずか4.1%しかいませんでした。「聞いたことはあるが内容までは知らない」は17.8%、「知らない/よくわからない」は78.1%にも及んでいます。

ライブコマースの利用状況に関しては、「ネットショッピングのためのライブ配信を観て、商品を買ったことがある」が3.3%、「ネットショッピングのためのライブ配信を観たことはあるが、商品を買ったことはない」が15.8%で、残りの80.9%が「ネットショッピングのためのライブ配信を観たことがない」と回答。現状は認知度が高くないことを考えると、そのぶん伸びしろがあるといえるでしょう。

日本のライブコマースの利用意向とメリット

同調査において、ライブコマースを認知していない人もライブコマースの仕組みがわかるよう、概要を説明したうえで利用意向を尋ねたところ、2.6%が「とても使いたい」、21.2%が「まあ使いたい」と回答しています。「使いたい」の総計が23.8%は少ないようにも思えますが、「どちらともいえない」が37.4%と多勢を占めるので、ライブコマースの魅力をしっかりと普及することができたら、利用意向はさらに高まりそうです。

「ライブコマースのよいと思う点は?」との質問に対する回答TOP3は、「画像やテキストではわかりにくい商品の様子を動画で確認できる」(38.7%)「買い物をするとき、不明点や疑問点を確認できる」(37.0%)「価格や商品の評価をその場で確認できる」(34.9%)と、なんらかの不明点をその場で確認できることに回答が集中しています。4位以降は「通販番組としておもしろい」「好きな場所で、好きな時間に買える」「好きな著名人や配信者が商品を紹介してくれる」と続くので、これからライブコマースを始めようと考えている企業は参考にするとよいでしょう。

日本でライブコマースが注目された理由

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2017年から現在までに、ライブコマースの注目度は徐々に高まってきています。続いては、その理由について詳しくみていきましょう。

コロナ禍で高まった存在感

第一に、先に述べた通りコロナの影響が大きかったといえます。「家から一歩も出ずに買い物できる」ことが消費者から歓迎されたのはもちろんですが、それだけだと既存のECサイトと変わりありません。では、コロナ禍においてライブコマースがもたらした新たな価値はなにかというと、「配信者と購入者の双方がリアルタイムでコミュニケーションをとれる」ということです。コロナ禍で人との接触が減るなか、インターネットを通してであっても、直接的なコミュニケーションを楽しめるライブコマースには高い需要があったといえるでしょう。

海外市場での成功

中国のほか、東南アジア各国でもライブコマースは人気です。ハノイやバンコク、ムンバイなどでも、認知度も利用率も東京より高く 、大手企業の参入も増えています。さらに最近では、欧米でも人気が高まっています。Facebookのオンライン販売をサポートするFacebook Shopによるライブコマース活用、InstagramからリリースされたInstagram Shop、Amazonが手掛けるAmazon Liveなど、ライブ配信できる場は世界中で増えつつあります。

こうした動向を受け、日本の企業もライブコマースに力を入れ始めていることから、今後は他社との差別化も重要になってくることが考えられます。

5Gの普及

5G時代の到来も、ライブコマースの浸透と大きく関係しています。4Gの最大通信速度が1Gbpsであるのに対して、5Gはその20倍の20Gbsの速度で通信できるようになったことから、高精細な映像を気軽に楽しむ人が増加したのです。映像が高精細であるということは、より実店舗での購買体験に近い体験を提供できるようになるということ。今後は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を駆使することで、よりリアリティを感じられる体験を提供する企業も増えてくるかもしれません。

ライブコマース市場はさらなる拡大を予想

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アジア圏のみならず、ヨーロッパやアメリカでも参入企業が増加しているライブコマース市場は、今後さらに拡大することが予想されます。

また、日本、中国ともに女性向けアパレル商品のニーズが高いのが現状ですが、アピールの仕方次第では男性向け商材の人気を高めることもできるでしょう。そのほか、地方の商品を全国に販売するために有効活用することも可能ですし、海外への展開も視野に入れるのもいいかもしれません。

各国の成功例などを参照しながら、ぜひライブコマースを活用して自社商品の魅力を最大限伝えるための方法を考えてみてくださいね。

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