ライブコマースにチャレンジするためには、まず機材をそろえる必要があります。しかも、評価を得るためには、それなりのクオリティを担保してくれる機材であることが必須。
そこで今回は、どんな機材を選べば納得できる動画の制作が叶うのか、ライブコマースに必要なものを紹介します。

ライブコマースの機材の選び方

クオリティ追求のためにハイスペックな機材を選べばいいかというとそうとは限りません。どれだけいい機能が備わっていても使いこなせなければ意味がないどころか、スムーズに動画を制作することができないからです。
自社の商材にあっているか
機材の重要性は、商材のジャンルによっても異なります。
イベントやショップクルージングなどをメインに考えている場合、手軽に扱える機材からスタートするのがおすすめです。逆に、アパレル・コスメ・ジュエリーのように、見た目を正確に伝える必要がある商材の場合は、できるだけ最初からよい機材をそろえる方がよいでしょう。
どんな機材がよいのかわからない場合は、何回か配信してライブコマースの手順に慣れてきたタイミングで購入するという方法もあります。レンタルをうまく活用して、自社に合う機材を選んでいきましょう。
担当者が扱いやすいか
レンタル・購入する際に気をつけるべきなのは「担当者からみた扱いやすさ」です。
ライブコマースにおいて、画質は非常に重要です。しかし、画質を優先して効果で扱いが難しい機材を購入してしまうと、継続した配信が難しくなります。ライブコマースだからと構えずに、扱いやすい機材を購入するようにしましょう。
また、機材も必ずしも最新版である必要はありません。むしろ、最初は中古で機材を購入し、自社の状況にあわせて徐々に細かい機材をそろえていくのがよいでしょう。
ライブコマースに必要なオススメ機材

続いては、動画制作および配信にはどんな機材が必要なのかを説明します。必ずしも必要ではないものもあるので、やりたいことと予算の両方を考えながら、自社のライブコマースに欠かせない機材を絞っていきましょう。
PC・SP
配信にあたってはインターネット回線が不可欠です。回線に接続したうえで既存のプラットフォームを利用するのがもっとも簡単な方法ですが、そのほかに、サイトにライブコマースシステムを組み込む方法やアプリを使う方法があります。いずれの場合もPCまたはスマートフォンから接続することになりますが、動作環境やスペックを考慮しなければ配信トラブルが起きがちです。
配信トラブルを防ぐためにまず大事なことは、PCの場合、有線LANで配信することです。有線LANは電波の干渉が起こらないため安定性が高いですし、外部から勝手に接続される心配もありません。アップロード速度は最低でも20Mbpsは確保したいところです。また、映像をリアルタイムに変換して配信ソフトで流す作業はパソコンへの負荷が大きいため、パソコンのスペックにもこだわることが大切です。メモリは16GB以上、CPUはCore i7以上が理想的。グラフィックボードはNVIDIA GeFOrce1660Tiが推奨されます。
スマホで配信する場合、アプリによって対応OS などが異なるため、使いたいアプリの説明をよく読んでからダウンロードすることが大事です。
カメラ
スマホでの配信の場合、基本的にはスマホに内蔵のカメラを使うことになるのでカメラは不要です。PCで配信するなら、カメラを用意することが必要です。カメラの価格はピンキリで、USBでPCに接続するwebカメラなら数千円~1万円前後、ハンディカメラやビデオカメラなら3万円から5万円程度で購入可能です 。ただし、5Gの普及率が高まったことで、今後ライブ配信はますます高画質化していくことが予想されるため、そのなかで埋もれてしまうことがないよう、映像の質にはできる限りこだわりたいところです
映像クオリティのひとつの目安となるのが、1秒間の動画が何枚の静止画で構成されているかを示す「fps(frames per second=フレームパーセカンド)」です。映画は24fps、テレビの映像は30fpsなので、少なくとも24fpsには達しているといいでしょう。
スイッチャー
「スイッチャー」は、接続された複数のカメラの映像をワンタッチで切り替えるための装置です。映像を瞬時に切り替えることによって臨場感のある映像表現が可能となることから、ライブコマースでもよく活用される機材のひとつです。
画面切り替えのポイントにフェードやワイプなどのトランジションを使うと、映像のクオリティがぐっと上がりますが、内蔵されているトランジションは機種によって異なります。商品を選ぶ際には、好みのトランジションが内蔵されているかを確認するといいでしょう。
また、バラエティ番組などで画面の隅に小さなウインドウを表示して、そのなかに別の映像が映し出す「P in P(ピクチャーインピクチャー)」は今や視聴者にとってもおなじみの手法ですが、スイッチャーがあればP in Pでの演出も可能です。ウインドウを表示する位置やサイズはスイッチャーによって異なるので、これに関しても購入の際に確認することをおすすめします。
キャプチャーデバイス
カメラからの映像をPCに取り込むためには、「(映像)キャプチャーデバイス」が必要です。キャプチャーデバイスは、PCとの接続方法や動画の扱い方によっていくつかの種類に分けられます。まずは、デスクトップPCに内蔵する「拡張カード型キャプチャーデバイス」と、USB接続する「外付け型キャプチャーデバイス」の2つに分けられます。さらに後者は、「ハードウェアエンコード」と「ソフトウェアエンコード」の2タイプに分けられます。
ただし、前者の「拡張カード型キャプチャーデバイス」はグラフィックカードなどを装着するPCIeスロットにセットすることから主にデスクトップPC向けで、さらにスロットに空きがなければ使えません。一方の後者は外付け型であるため、ノートPCでもデスクトップPCでも使用可能。
また、ハードウェアエンコードはカメラ映像をキャプチャーデバイス上で圧縮してくれますが、ソフトウェアエンコードは圧縮してくれないため、PC側の負荷を少なくしたいなら、ハードウェアエンコードを選ぶといいでしょう。
オーディオインターフェース
「オーディオインターフェース」とは、マイクや楽器をPCに接続するための機材です。ライブコマースの動画にBGMを挿入するために使います。BGMの挿入はiPodでおこなうこともできますが、オーディオインターフェースを活用すると音源をデータとして取り扱うことができるので、長さや音量を調節したり、2つの音を重ね合わせて使ったりすることも可能です。BGMは著作権の心配のない、フリー素材を使用するのがおすすめです。
ライト
ライトを使うか使わないかによって、出演者の顔色も商品の見栄えも大きく異なります。ただし、全面ガラス窓の部屋で日中に撮影する場合などは、自然光のほうがかえってキレイに見えることもあるので、画面映りを確認しながら使用の有無や明るさを考えるといいでしょう。反対に、影ができる角度があるスペースなどで撮影するなら、複数のライトを使ったほうがいい場合もあります。
最近は、オンラインミーティングなどで顔色をよく見せるために自前のライトを使う人も増えているので、製品のバリエーションも増えています。スマホでの配信に最適な卓上リングライトから、広範囲を明るく照らすことができる10インチ以上の三脚タイプまであるので、撮影場所や出演者の数などを考えて、必要なライトを必要な台数そろえておくと安心でしょう。
スタンド・三脚
カメラスタンドや三脚があれば、手ブレを防ぐことができるだけでなく、画面をゆっくり切り替えることも可能です。映像の乱れなど気にならないと思う人もいるかもしれませんが、ほんのちょっとの手ブレが感じられただけでも不快に感じる視聴者は意外と多くいます。なかには、「映像が揺れて酔う」「画面を見ていると気持ち悪くなる」と離脱する人もいるので、スタンドや三脚はできる限り使用したいところです。
ジンバル・スタビライザー
「ジンバル」とは、映像を録画する際に発生しがちな手ブレを補正する機器のこと。「スタビライザー」とも呼ばれています。
ジンバルが活躍するシーンとしてまず考えられるのが、歩いたり走ったりする映像の撮影です。たとえば、自転車やバイクで走行している様子を見せたいときなどに活用すると、まるで宙に浮いているカメラから撮影したかのような映像に仕上がります。
また、グリップの向きに関わらず、クレーン撮影のように水平を保つことができるのも大きなメリット。「被写体追尾機能」を使えば、被写体をとらえたまま見上げたり見下ろしたりとアングルを変化させることもできます。さらに、手ブレ補整機構の優秀さゆえ、手持ち撮影では不可能な長時間露光も可能になります。
スマートフォン用、デジタルカメラ用、カメラ一体型と大きく3タイプのジンバルがあるので、用途に合ったジンバルをチョイスすることが大事です。また、スマートフォン用ジンバルは、アプリやファームウェアの更新で安定性や機能が大きく向上するので、常に最新版のアプリ・プログラムで使うことが大切です 。
マイク・ミキサー
スマートフォンやカメラでも音声を拾うことはできますが、出演者の声や、紹介したい商品の動作音などを視聴者にしっかり届けるためにも、別途、マイクやミキサーを用意することが望ましいでしょう。マイクのスペックは、主にトークを拾うために使うのであればそれほどこだわる必要はありませんが、数年前から注目されているASMRの要素などを盛り込んだ配信にしたいなら、より高音質で録音できるマイクにこだわり、周波数性能をチェックするといいでしょう 。
また、ミキサーがあれば音量の調節が可能なので、出演者の声とその他の音とのバランスを整えやすくなります。
ライブコマースの機材選びも醍醐味の一つ

ライブコマースの実現に欠かせない機材、あると便利な機材はさまざまにありますが、いずれの機材も、自社で使うのに最適な商品を選ぶにはそれなりに時間がかかるでしょう。
必要な機能、不要な機能を見極めることでオーバースペックにならないようにするだけでなく、予算内に収めることも大切。ネットの記事などを参考にしながら候補を絞っていくことで、自社にぴったりな商品を見つけてくださいね。
一つひとつの機材の使い方さえわからないうちは、機能を理解することも難しく感じてしまうかもしれませんが、それぞれの機材でできることがわかってきたら「使ってみたい」という気持ちも芽生えてくるので、商品選びが楽しくなってくるはずですよ。
