生配信でメッセージをやりとりしながら商品を購入してもらう「ライブコマース」。2020年から様々な企業が導入していますが、「一体何からどうやって始めればいいのかわからない」という人も少なくないはず。
そこでこの記事では、ライブコマースの具体的な始め方と成功させるポイントをご紹介します。
ライブコマースとは?

ライブコマースとは「ライブ」と「コマース(ネットショッピング)」をかけ合わせた言葉です。
ライブ配信を見ながらオンラインで商品を買える販売の形態を指し、視聴者が販売者にリアルタイムで質問やコメントを投げかけることも可能です。
似ている販売形態として「オンライン接客」などがありますが、こちらは主に1対1での接客をメインとするのに対し、ライブコマースの場合は1対多数で、一度に多くのユーザーに観てもらうことが可能です。
参考:ライブコマースとは?意味や市場、メリット、成功事例を解説
ライブコマースを始める前に決めたいこと

では、そんなライブコマースを始めたい場合、どういう手順で進めていくのがよいのでしょうか?
今回は、失敗しないためのコツとあわせて配信当日までの流れをご紹介していきます。
ライブコマースを始める目的
ライブコマースを導入したいと考えたとき、まずするべきことは「何のために配信するのかをはっきりさせる」こと。
「競合他社がやっているから」「コロナ禍で店舗の来客が伸び悩んでいるから」といった理由でライブコマースを始められる方は多いですが、その際に重要なのは「何がどうなったら成功といえるのか」をあらかじめ決めておくことです。
ライブコマースを行う目的と成功の基準をはっきりさせておくことで、配信の内容が決めやすくなり、改善案も出しやすくなります。
とはいえ「初めてのことで、どう目的を設定していいのかわからない…」という方もいらっしゃるでしょう。その場合は、まず「ライブコマースの売上」か「自社のブランディング」のどちらを目的にするかを決めましょう。
売上を目的にする場合、気をつけたいのは「ECからの売上を5倍にする」「店舗の減った売上をすべてまかなう」といった大きすぎる目標を立てないこと。
ライブコマースは長期戦です。まずは「売れ筋の商品をさらに売る」「いま買ってくれている人にあと1~2アイテム追加で買ってもらう」といった現実的な目標を立て、配信しながらより大きな目標に挑戦していくのがおすすめです。
また、「自社のブランディング」を目的にする場合、「ブランドの認知をあげる」「サイトへの流入を増やす」「スタッフのファンを増やす」といった様々な目標があると思います。
この場合、注意したいのは、売上を目標にするときに比べて数字の目標が立てづらいことです。 認知を目的とする場合はそれをどう数字で測るのか、スタッフのファンを増やすのが目的であればどうやって数字に置き換えるのか、もし以前に似た施策を行ったことがあればその数字も参考にしつつ、社内でどの数字を見ていくかを慎重に決定するようにしましょう。
ライブコースを配信する場所
ライブコマースの目的が決定したら、次に行うべきなのが「どこで配信を行うか」です。ライブコマースにはいくつかの種類があり、それぞれに得意・不得意があります。
■SaaS型:自社サイトでの配信
メリット:手数料が少ない。自由度が大きい。
デメリット:ユーザーを自力で集める必要がある。
■SNS型:Instagram、Facebook、ツイキャスなどでの配信
メリット:手軽にスタートできる。新規顧客の獲得につながる。
デメリット:実際の購入に繋がりにくい。
■ECモール型:楽天、Yahooショッピングなどでの配信
メリット:ECサイトを立ち上げる必要がない。新規顧客の獲得につながる。
デメリット:手数料が高いケースが多い。
ファンの多いブランドであればSaaS型、若年層に認知を広げたい場合はSNS型、もしくは両者の併用なども検討しながら、自社の目的にもっとも合う配信場所を決定しましょう。
ライブコマースを配信するツール
配信する場所が決定したら、次は「何で配信するか」を決定します。現在、日本国内のライブコマースツールは多数あり、それぞれに特徴があります。
選ぶ際にもっとも気をつけるべきことは、「目的にあった配信ができるかどうか」です。また、初めてライブコマースを行う場合は「サポートが充実しているか」、配信しやすさだけでなく「ユーザーから見やすいツールになっているか」といった点もチェックしましょう。
どれを選ぶか迷った場合は、まずは他社の配信を実際に自分で見てみるのがおすすめです。実際にユーザーとしてライブコマースを視聴し、その中で見やすいと感じたツールや、目的にあった配信ができると感じたツールに問い合わせをし、絞り込んでいくのがよいでしょう。

ライブコマースで紹介する商品
ツールが決定したら、サイトへの導入・SNSアカウントの開設などを行っていきます。そういった開発側の作業と並行して行うのが、配信「内容」の決定です。
配信内容については、まずは商品を決定しましょう。企業がライブコマースを行う場合、1回の配信は30分〜2時間で行うケースがほとんどです。その時間内でどれくらいの商品が紹介できるか、商品の特性ともあわせて決定しましょう。
参考として、アパレルのように1アイテムあたりの説明が短い商品は1時間で10〜15点ほど、コスメやギフト商品のように豊富な説明が必要とされる商品は6〜12点ほどで配信されることが多いようです。
また、商品を決定する際は、だいたいの配信予定日をもとに当日在庫切れしないかという点もあわせて確認しておきましょう。せっかくライブコマースを行うのに、当日や配信後の在庫が少ないのはもったいないです。このあたりも社内確認を忘れず行いましょう。
ライブコマースに出る出演者
続いて出演者を決定します。出演者は多くの場合、以下の2パターンがあります。
■ゲストに出演してもらう
メリット:集客が見込める。新規顧客の獲得につながる。
デメリット:選定が難しい。時間・予算などのコストがかかる。
■店舗スタッフなど社員が出演する
メリット:手軽に行える。社員のファンが増える。
デメリット:初期は集客が難しい。企画を練る必要がある。
ゲスト・社員いずれの配信の場合も、重要なのは「商品の知識が豊富かどうか」という点です。 ライブコマースはリアルタイムでユーザーからの質問が来ることも多いので、それに対してきちんと応対ができる方をキャスティングする必要があります。
また、出演者は1人だけとは限りません。よくある構成は、司会1名と、商品を見せる方(またはモデル)2-3名という3-4名の構成です。この場合、司会に商品知識が豊富な方をキャスティングすると、配信のクオリティが安定しやすいので、あわせて検討してみましょう。
ライブコマースを撮影する場所
商品と出演者が決まったら、「どこから配信するか」を決定しましょう。ライブコマースの場合、店舗から配信を行うケースと、オフィスから配信を行うケースがあります。
店舗から配信するメリットは、光量があって商品映りがよいこと、映り込む背景や小物を通じてブランドの雰囲気を伝えられることです。
オフィスから配信を行うメリットは、機材設営などが比較的楽で、準備が手軽であること、ショップを閉める必要がないことです。
このあたりは「使用できる店舗があるかどうか」「紹介する商品はどこに保管されているものか」などによっても変わってくるので、自社の状況にあわせてもっとも最適な場所を選びましょう。
ライブコマースを撮影・配信する機材
配信を行うためには、機材も必要です。
アパレル・コスメ・ジュエリーのように見た目を正確に伝える必要がある商材の場合、できるだけ画質がよい機材を利用するのがおすすめです。逆に「毎日配信を行う」「屋外から配信する」といった場合は、手軽さを考えてスマートフォンを検討してもよいでしょう。
また、最初は機材をそろえずに、まずはレンタルからスタートするのも一案です。レンタルで様々な機材を試し、自社の目的や配信内容にもっともあった機材を購入するという方法もあります。
あわせて、高度な機材を使用する場合は、カメラマンの手配も忘れないようにしましょう。こちらも、始めのうちだけはカメラマンを手配し、徐々に社内で配信できるよう体制を整えるという方法もあります。
ライブコマースの告知
内容がかたまってきたら、告知も行っていきましょう。
もっとも一般的な告知方法はLINE@、Twitter、メールマガジンを通じた告知です。ECサイトでライブコマースを行う場合は、トップページにに告知画像を出すのも効果的です。
告知は、遅くとも配信の1週間ほど前には始めるようにしましょう。またその際は「何日の」「何時から」「どこで」「どういう内容を」「誰が」配信するかを明確に伝えるのが理想的です。
あわせて、ライブコマースにあまり馴染みのないユーザーをターゲットとしている場合、「どうやって見ればいいのかわからない」「配信ページにきたが動画が見られない」といった問い合わせが多数寄せられる可能性があります。ライブコマースに馴染みのないユーザーをターゲットにする場合、告知のときにできるだけ丁寧に視聴方法を説明するのがおすすめです。
また、見逃されがちですが社内への告知も重要です。できるだけたくさんの関係者に見てもらうことで、配信している自分たちでは気づかなかった改善点に気づくこともあります。特に最初のうちは、できるだけたくさんの関係者に視聴してもらい、積極的にフィードバックをもらうようにしましょう。
ライブコマースのリハーサル
内容と告知の準備が整ったら、前々日〜当日にリハーサルを行います。できるだけ本番と同じ状況で、通しでのリハーサルを行いましょう。機材が準備できない場合は手持ちのスマートフォンで対応するなど、できる範囲で行いましょう。
実際にリハーサルをしてみると「カンペは自分で持つよりカメラの横に置く方がいい」「コメントを読む暇がないので誰かがチャットで返信した方がよい」といった、細かい修正点が見えてくるはずです。
特に始めのうちは、こういった細かいところで当日あわててしまうことがあるので、念入りにチェックをしておきましょう。
ライブコマースの成功のポイント

ライブコマースを成功させるには、「自社の商品とライブコマースとの相性」や「配信者の選定」が重要です。そこでこの章では、ライブコマース導入における「4つの成功ポイント」を詳しく紹介します。
ライブコマースと相性の良い商品を選ぶ
ライブコマースと相性が良い商品は、見栄えが良くトレンドを押さえたものです。
例えば、「化粧品」や「コスメ」。使用前と使用後で効果がわかりやすく、パッケージや色合いも鮮やかで配信映えがします。
「食料品」もライブコマースと相性抜群。従来ECではイメージが湧きづらかった味や食感、作り手の思いもプラスして伝えることが可能です。
その他にも「洋服」や「生活雑貨」なども商品の見栄えがよくトレンドをおさえています。
商品と相性のいい配信者を選ぶ
商品と相性のいい配信者だった場合、売上だけでなくブランドに対してファンがついたり、その後の継続的な購入も見込めます。
・ブランドのイメージに合っている
・視聴者からのコメントにしっかり対応できる
・商品説明だけではない参加者一体型の配信ができる
この3点をポイントに配信者を選んでみてください。
ユーザー層に人気の配信者を選ぶ
ユーザー層に人気の配信者を起用することで、集客・売上・認知度アップが期待できます。
・情報の拡散力
・視聴者との距離が近い
・広告臭少なく共感性の高い訴求ができる
・ターゲティングしやすい
など、
配信者のファンを取り込んだり、視聴者に与える印象をアップする効果があります。
ライブコマース配信後にデータ分析を行う
ライブコマースで成果を挙げるには、配信で得られたデータを正しく分析をして次の配信に活かすことです。
・視聴者数
・リアクション数
・コメント内容
・購入された商品
・離脱率
ライブ配信をして終わりではなく、「どうすればもっと多くの人に商品を届けられるのか」を考え配信内容を改善していくことが重要です。
ライブコマースはトライ&エラーを繰り返して成長を

ライブコマースの具体的な始め方と成功のポイントを紹介していきました。ライブコマースはまだまだ発展途上段階。1,2回の短期的な成果だけでなく、トライ&エラーを繰り返しながら段階的な成長を目指していきましょう。